平成16年度 新設国立大学歯学部同窓会連絡協議会(国歯協)報告

                      

同窓会副会長 佐藤定雄

 

日 時:平成166月6日(日)午前9時~12時

会 場:広島全日空ホテル(葵の間)

当番校:広島大学歯学部同窓会

【会次第】

1 開会の辞  広島大学歯学部同窓会 副会長 渡辺 文衛

2 当番校挨拶 広島大学歯学部同窓会  会長 柄 俊彦

3 各校出席者紹介

4 講演 演題 「卒前・卒後教育と研修医制度の義務化」

     講師  広島大学病院・教授 小川 哲次 先生→要旨は下記に記載

5 協議

1)前回協議の報告 新潟大学歯学部同窓会・・・新潟大学歯学部同窓会

                      多和田孝雄会長より報告 

2)独法化後の大学と同窓会のかかわり方

・ 大阪大学:全学同窓会研修室等の施設を中ノ島に建設

・ 長崎大学:今後緩やかに進める

・ 鹿児島大学:17年1月に連合会を設立

・ 北海道大学:連合同 窓会を設立し、名簿管理、北大カードを発行し、

        そこで得た収入は奨学金に当てている

・ 新潟大学:16年4月に全学同窓会連絡協議会設立

・ その他の国立大学歯学部が属する大学からの全学同窓会設立の報告なし  

3)各校よりの質問:鹿児島大学歯学部より代診医制度について質問

→新潟大学歯学部同窓会副会長:佐藤定雄 回答

4)議事録の作成について・・・・今後議事録を当番校が作成

5)次回当番校への申し送り・・・東北大学 秋に予定

6) 次々当番校について・・・・・鹿児島大学

7) その他 

6 閉会の辞 広島大学歯学部同窓会副会長 香西克之

 

【講師紹介】

    講師略歴 氏名:小川哲次

         所属・職名 :広島大学病院・教授

    学歴・職歴

      昭和50年 3月 九州歯科大学卒業

      昭和50年 6月 広島大学歯学部付属病院医員(第二保存科)

      昭和52年 4月  同  講師歯学部付属病院(第二保存科)

      平成14年10月  同 文部科学教官教授歯学部付属病院

(口腔総合診療部)

      平成16 4月  同 病院・副病院長

    

所属学会

      日本歯科医学教育学会・日本医学教育学会・日本歯周病学会・

日本歯科保存学会日本コミュニケーション学会・アメリカ歯学教育学会・

アメリカ総合歯科医療学会

 

【講演要旨】:演題 「卒前・卒後教育と研修医制度の義務化」

 

 小川哲次先生は所属学会からもお分かりいただけますが、歯科医学教育に大変造詣が深い方です。今回、卒後教育よりも卒前教育について重点的にお話ししたいし、またそのような立場にあることを強調し講演されました。研究に力点が傾きがちな大学教官が「教育力」をもっと磨いたならば、歯科医師の質が高まり歯科界が好転するのではと思いながら拝聴いたしました。読み易いように箇条書きにしました。最後の8番は、今後の大学の発展のためのキーポイントではないでしょうか。

 お読みくださればそれぞれの立場できっと良い刺激になると思います。

 

  [卒前教育]

1、医学教育改革の動き

日本の医学教育は欧米に比べて20年遅れている。歯科はさらに医科に遅れること約20年。

1970年代に既に、医療者中心から患者(市民)中心の医療の必要を認め転換を図るため、模擬患者教育、OSCEObjective Structured Clinical Examination)等が実施されていた。

2、歯科医学教育の改革は「卒後臨床研修の改革」から始まった。

平成9年の臨床研修の一部法制化→卒前教育の見直しと改革が動き出す。

卒前から卒後までの一貫した歯学教育、歯科医師臨床研修カリキュラムが組まれた。

生命倫理、医療倫理、臨床倫理が強調。 

3、技術偏重と知識偏重が交互に変遷を繰り返してきたが、今は、「100の知識より10の問題解決能力」を重視。

4、「受動的学習」から「能動的学習」へ

「心の底から必要性を痛感した時、学習者に意識と行動の変容が起こる」ことを

認識し教育を工夫し実践することで、「質の高い教育サービスの提供」ができる環境が整備される。

5、歯科医学モデル・コア・カリキュラムと歯科医師臨床研修の学習目標

患者との良好な人間関係を築き、安全でしかも質の高い問題中心の歯科医療を提供するために、患者のQOLを最終的に考え、身体的及び生活環境にも配慮しながら行われる全人的歯科医療についての態度、知識、技能について修得する。→これは生涯を通じて研鑽すべき到達目標である。

6、今後の医学・歯学教育の目標⇔学習者中心の能動型教育

1)  患者中心の医療を実践できる医療人の育成

2)  コミュニケーション能力の優れた医療人の育成

3)  倫理的問題を真摯に受け止め、適切に対処できる人材の育成

4)  幅広く質の高い臨床能力を身につけた医療人の育成

5)  問題発見・解決型の人材の育成

6)  生涯にわたって学ぶ習慣を身につけ、根拠に立脚した医療を実践できる人材の育成

7)  世界をリードする生命科学者となりうる人材の養成

8)  個人と地域・国際社会の健康の増進と病気の予防・根絶に寄与し、国際的な活動ができる人材の育成

7、良い医療者の必要条件

1)    人間関係を良好に築く能力

・人の痛み、苦しみを敏感に察知できる

    (思いやりと誠意にあふれた医療者)

  ・人との良好な人間関係を築くことができる

2)    医療技術 →対話に基づく医療

・科学的根拠に基づく医療(EBM)を実行できる。

・チームプレーを上手に実施できる。

8、教える側の問題

  優れた研究者や臨床家は良い教育者でもある

 

[卒後教育]厚生労働省と歯科医師臨床研修必修化

 

   歯科医師臨床研修施設の指定希望

          ↓

   歯科医師臨床研修施設の指定申請書の記載

          ↓

   歯科医師臨床研修施設の指定申請書の提出←178月末まで

          ↓

   歯科医師臨床研修施設の指定申請書の書類診査

          ↓

歯科医師臨床研修指定申請施設の実地調査←179月以降

       ↓

歯科医師臨床研修施設の指定に係わる審議←18年2~3

医道審議会歯科医師臨床研修部会

     ↓

     歯科医師臨床研修施設の指定(厚生労働大臣)←1841

            ↓

     歯科医師臨床研修事業の開始 ←184月~